- 田んぼ全体に水をまわしやすくする(6月~10月)
- 水はけを良くする(特に稲刈り前、そして冬の期間)
- 人が歩く通路
我々の田んぼでは、5メートルx20メートルを一区画として生徒に割り当てられるのでその境界としての役割にもなる。ただ、昨年の生徒さんたちの田んぼを受け継ぐわけなので、この溝は既に存在する。改めて溝を掘る作業は今回は省略だ。
だが、それ以外にやることがある。この時期、土を予め取置きをすることが必要だ。その土を土のうに詰めて、置いておく。4月に、苗床をつくり種を撒き、その上に被せる細かい土が必要なのだ。
採取する場所は、同時に苗床まわりの溝となる。この溝は苗床にモグラが侵入しないための防御線となるのだという。モグラは地中を掘り進んで、突然空間に出くわすとそれ以上は進まない性癖があるらしい。
一般に田んぼは、30cmも掘ると下は赤土が敷き詰めてある。水を貯めるために人為的にそういう構造にしてあるのだ。我々の田んぼは実に江戸時代から続くものだという。その時代の農民が人力で、傾斜地を平らにして、赤土を敷き詰めて、その上に黒く栄養豊かな土を覆って田んぼにした。なんと気の遠くなるような作業ではないか。
先生曰く「一説では、日本の田んぼは、万里の長城を超える人工建造物と言っても良い。」と。その通りだと感心
さて、土取の作業を終えて昼ごはん。雪のチラつく寒い日。こんな日は焚き火が有難い。火にあたりながら世間話しつつの和やかな時間だった。
そして、本日最後の作業は、田んぼ周辺の環境整備。具体的には用水路両脇を覆っている枯れ草の伐採だ。アシやクズを始め多彩な植物が枯れて、これらが水の流れに支障となっている。鎌で切り取る作業だ。以前は近隣の人が集まって、用水さらいを一斉にしたのだが、近年はそいうこともなくなり、自分の田んぼ近くは各自でやることになっているのだという。
自分の区画も決まり、いよいよ米作りが始まるのだという実感が増す一日だった。